おちゃらけミクロ経済学: 比較優位と取引利益

2012年9月29日土曜日

比較優位と取引利益

1人で暮らすべきか?一緒に暮らすべきか?




前回のブログで示した、絶海の小島に漂流してきた、
2人の食料の調達状況を、再度確認してみましょう。




食料の確保量と消費量






この表を見る限り、ロビンソンは、吉之助と一緒に暮らすよりも、
1人で暮らしていた方が、絶海の小島でサバイバルできそうです。




ロビンソンにとってみれば、その方がバナナも魚もたくさん確保することができます。
わざわざ、吉之助と分け合わなくても、より多くの食料が確保できそうだからです。




しかし、経済学的な見地からすると、
ロビンソンは、吉之助と暮らした方が、より多くの利益を得ることができます。



経済学的な見地




集めるだけでなく取引することを考えてみましょう



冒頭で触れた表を拡張してみましょう。加える条件は2つです。




  1. 「食料集めは、魚とバナナのどちらか得意な方に特化する」
  2. 「食べきれない食料は取引する」


食料の確保量と消費量(取引した場合)



食料の確保量と消費量



取引による利益の説明




ロビンソン(魚捕り→×バナナの収穫→○)





80匹が最大確保量となり、うち56は従前通り自分で食べる。
20  は吉之助に渡す。4 は利益分とする。(80-56-20=4


  • バナナ


自分では確保せず、吉之助からバナナ20房をもらう。
18房を自分で食べて、2房は利益分 とする。(0+20-18=2



吉之助(魚捕り→×バナナの収穫→○)





自分では確保せず、ロビンソン から魚20匹をもらう。
12匹を自分で食べて、8匹利益分 とする。(0+20-18=8


  • バナナ

40 房が最大確保量となり、従前通り16房は自分で食べる。20房は吉之助に渡す。
4房は利益分 する。(40-16-20=4



機会費用と比較優位



ここで重要なポイントは、2人が、得意分野の食料を、取引していることです。
取引をすることによって、従前の量よりも、多くの食料を確保ていることです。
これを取引による利益といいます。




この一連の現象について、経済学的に丸めてみると、次のような表現になります。
「ある個人にとって、ある財の機会費用が他の人びとより低いとき、
その人はその財に比較優位を持つ」。

(つづく)



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