おちゃらけミクロ経済学: 2月 2014

2014年2月27日木曜日

経済学ってなに? その2

問題解決のヒントぐらいは出せる経済学



前回では、経済学とは「ありきたりの日常生活」
分析する学問であるということを説明しました。


「ありきたり」と言えば、そこらへんに転がっているような感じで、
大してありがたくとも何ともないかもしれません。


しかしそんな「ありきたり」の経済学でも、
日常の生活に潜む重要な問題をあぶりだし、
解決に貢献できるアイデアを提示することができます。


言い換えると、経済学とは日常生活の問題について
解決ができるかどうかは分からんが、ヒントは出せるよって感じですかね。




Adam Smith / [Duncan]



経済学が解決できそうな問題




その問題とアイデアを一例をあげるとこんなものがあります。


1.「江戸時代の横浜村では見られなかったような
モノやサービスの供給が、現在の横浜市ではいかに実現しているのか?」


2.「横浜市に限らず、日本全体で見たときでも、
経済システムが時々、上手くいかないときがある。
どのような理由で上手くいかなくなり、人びとを非生産的な理由に駆り立てるのか?」


3.「なぜ経済に浮き沈みがあるのか?
経済が年によっては『不景気』となるのはなぜか?」


4.「江戸時代の横浜と現在の横浜を比較すれば分かるように、
長期的に見て経済が、上昇しているのはなぜだろうか?」




ミクロとマクロの視点で日常生活を分析





今回は4つの問題とアイデアを取り出しました。



しかしどれも答えようと思えば本が書けてしまうぐらいのレベルの話なので、
詳しくは立ち入りません。


しかし、大ざっぱではありますが、カテゴライズして問題を整理すると、



  • 1と2の問題→ミクロ経済学
  • 3と4の問題→マクロ経済学


という学問体系で説明することができます。







2014年2月26日水曜日

経済学ってなに? その1

「ありきたりの日常生活」を分析する経済学



ミクロ経済学を持ちネタとして、ブログをやっていると、


「そもそも経済学ってなに?」


という根本的な質問をいただくことがあります。


これらの質問について専門用語を交えて、説明できることは可能です。
ですが特別に難しい言葉を使わず、結論から言ってしまえば、
「ありきたりの日常生活」を分析する学問です。


「ありきたりの日常生活」―現在の横浜



例えば、YouTubeの動画に、こんな動画がUPされています。
この動画を見ると、横浜市営地下鉄センター北駅の様子が伺えます。

「となりのトトロ "さんぽ" 演奏会」フラッシュモブ





Wikipedia-センター北駅




突然、「となりのトトロ」が始まる以外は、今の日本人から見ると、
「ありきたりの光景」なのかもしれません。



横浜市にあるのセンター北駅でなくてもこのような光景は、
特段に珍しいものではないでしょう。



ですが、こういう場面こそ、実は経済学の出番です。
実は、経済学のフィルターを通すと、ありふれた日常の生活の中から、
たくさんの重要な問題を取り出すことができます。




「ありきたりの日常生活」―江戸時代の横浜




例えば、時間を現在ではなく、江戸時代に、巻き戻してみましょう。
横浜と言えば、つい160年前までは、人もまばらな寒村だったはずです。
人はいっぱいいますが、幕府の役人とペリー艦隊の関係者しかいませんね。


1853年、横浜村に来航したペリー一行







この時代の横浜村で「ありきたりの生活を送る人」を
センター北駅前に連れくれば、あまりの繁栄ぶりに、いろんなこと思い巡らすでしょう。



  • 「どうすればこんなに人が集まってくるのか?」
  • 「この豪華な建物はどうやって建てるんだ?」
  • 「どうすればこんなにモノが手に入るのだろうか?」
  • 「どうやったら横浜村でも同じことができるのか」



これらの疑問に答えるのが、社会の生産活動を調整する
システムを考える経済学と言う学問です。

(つづく)






2014年2月20日木曜日

その広告、役に立つの? その3

ブランドネームも商品差別化の戦略



前回の記事では広告が消費者に対して、
「間接的な」情報提供を行うことを説明しました。



同じようなことがファーストフード店が持つブランドネームにも当てはまります。
ブランドネームもやはり「間接的な」情報提供を行います。


例えば、あなたが下のようなショッピングセンターに立ち寄り、
お腹がすいたので食事をしたいときのことを考えてみましょう。


イオン近江八幡ショッピングセンター






ブランドネームが伝える情報とは?




しかし、あなたは特にこのショッピングセンターについて詳しいわけでもなく、
特に食事のメニューについて希望があるわけではありません。
こういうときに頼りになるのがブランドネームです。


【HD】2013/01/18 ON AIR CM (30s) No.005 マクドナルド/朝マック







もしあなたがこのようなCMの情報を受け取っていればマクドナルドという
ブランドネーム自体に食事の価値を見出し、自ら店に行きつくことになります。
よく見ると、赤線で囲ったところにマクドナルドがありますね。







ブランドネームの負の側面




ショッピングセンターにおけるマクドナルドの例は、
ブランドネームが持つ正の側面を表していますが、
ブランドネームは一方で負の側面も持ちます。



ここらへんも広告がもつ賛否両論と非常によく似ています。
反対論がもつ意見としては、次のとおり。


  • ブランドネームは正当化できないほど強い市場支配力を作り出す
  • 同じ内容でもノーブランドの商品よりも高く売られている
  • ブランドネームは消費者の非合理的な心理を操作している。



(「その広告、役に立つの?」シリーズ終わり)




















2014年2月13日木曜日

その広告、役に立つの? その2

「イメージ重視」のCMは資源の無駄遣いか?



「その広告、役に立つの?」と銘打ったシリーズ第2回目は、
シグナルとしての広告の役割を考えてみましょう。



今回は、企業の広告活動が合理的なのか、資源の無駄遣いか判断するのは、
結構難しい問題であるということについて、事例で説明していきます。



例えば、YouTube動画でCM動画を検索していると、大きく次の2種類の
広告に分類できます。1つは「情報提供型」でもう一つは「イメージ型」です。





NTT東日本 広告 / k14





「情報提供」のヨドバシ、「イメージ」のペプシ




「情報提供型」のCMで目に付いたのが、このヨドバシカメラのCM。、
商品のラインナップやアフターサービスなど消費者が家電製品を購入するための
情報提供を行っていることが分かります。


ヨドバシカメラ TVCM 2011年8月~9月









一方、(ちょっと古いけど)このペプシコーラのCMは、「イメージ型」といえるでしょう。
特にコーラを飲むための作法を教えている訳でもなく、イチローが飲むペプシコーラを
買って飲めば、なんだかとってもさわやかな気分になれそうです。


イチロー ペプシコーラ CM 2002







「イメージ」は間接的な「情報提供」




ヨドバシカメラのCMは、情報提供色が強いため、何のためのCMか分かりやすいでしょう。
またCMを見ることで店まで行って家電製品を購入するかどうか、意思決定ができそうです。



一方、ペプシのCMを見ていると、「イチローのかっこよさ」に、
「惑わされて」買ってしまいそう、と言えなくもないですね
(この「惑わされて」というところが、前回の広告批判論につながるんですが)



ただ、ペプシのCMに引きつけられる消費者が、全く非合理かと言えばそうではありません。
おそらくコーラの消費者の大半は、ペプシコーラの製品情報を十分に持っていないでしょう。



そこで、ペプシは「メジャーなスポーツ選手に、高額の報酬を支払うことできる」会社
であることを消費者にアピール
します。



するとその広告を受け取った消費者は、
「間接的」にその製品は質が良い、という情報を受け取ることになります。


(つづく)







2014年2月12日水曜日

その広告、役に立つの? その1

実は賛否両論がある広告活動




独占的競争企業は、差別化された製品を生産するので、、
それぞれの企業は自社の製品に顧客を引き付けるために広告を行います。
ただし広告を行うことについては、経済学者の間で、昔から賛否両論の論争があります。



そこでしばらくは、「その広告、役に立つの? その1」と
銘打って広告の是非や役割について考えていきましょう。





Advertising / Wrote





批判的な意見と支持する意見





広告に批判的な人々からは次のような声が上がります。



  • 企業が広告を使って情報提供ではなく心理操作をし、潜在的な欲望を呼び起こす
  • 広告が製品を実物よりもより良いものに伝えようとするので、かえって競争を阻害する




一方、広告を支持する人たちの意見にはこんなものがあります。




  • 企業は広告を用いることによって、価格・新製品の発売・販売店などの情報を伝える
  • 広告による情報提供で社会に対し、資源をより効率的に配分できる
  • 広告は顧客を引きつけ、新たな企業を市場に参入させやすくする



広告が低価格を実現する事例




管理人自身、プロの経済学者ではありませんので、なんらかの根拠をもって
支持・不支持のいずれかの立場を取ることはできません。



ただし、次にあげるメガネに関する事例を見る限り、 広告は競争を
促進し、消費者に低価格をもたらす
ことが分かります。



1960年代のアメリカでは、いくつかの州ではメガネと検眼の広告が
各州法で禁止されていました。そこでリー・ベンハムという経済
各州法の違いに着目して、メガネの価格と、広告に関する一般的見解を示しました。


"広告を禁止した州では、眼鏡の平均価格は33ドルであった。(中略)一方、しなかった州では、平均価格は26ドルであった。このように広告は平均価格を20%以上も下落させた。眼鏡の市場や、またおそらく他の多くの市場でも、広告は競争を促進し、消費者に低価格をもたらすのである。"


(P509 「マンキュー経済学第2版Ⅰミクロ版」第17章独占的競争)


(つづく)


【参考文献】


マンキュー経済学〈1〉ミクロ編