おちゃらけミクロ経済学: 完全競争市場 自由参入と自由退出 その3

2013年2月20日水曜日

完全競争市場 自由参入と自由退出 その3

短期は「不自然」、長期は「自然」




前回のブログでは時間の観点から、短期長期市場供給曲線の特徴について述べました。
ここで2つの供給曲線を合わせて、特徴を比較をしてみましょう。



短期と長期の供給曲線






  • 短期→傾きが大きい→生産量の伸びに対して価格の上昇幅が大きい
  • 長期→傾きが小さい→生産量の伸びに対して価格の上昇幅が小さい


つまり、自由参入と自由退出の性質を備えた完全競争市場では、
時間の経過とともに、財・サービスの生産量が、伸縮しやすくなるとも言えます。




雪のため通行止め Road Closed Due to Heavy Snow / Yuya Sekiguchi



参入規制は供給の硬直化をもたらす




前々回のブログでは、参入規制の観点から「参入規制あり」
「参入規制なし」市場供給曲線の特徴について述べました。
ここでも2つの供給曲線を合わせて、特徴を比較をしてみましょう。




参入規制ありと参入規制なしの供給曲線





  • 「参入規制あり」→傾きが大きい→生産量の伸びに対して価格の上昇幅が大きい
  • 「参入規制なし」→傾きが小さい→生産量の伸びに対して価格の上昇幅が小さい


つまり、自由参入と自由退出の性質を備えた完全競争市場では、
参入規制の有無で、財・サービスの生産量の伸縮が変わると言えます。



「不自然な状態」と「自然な状態」




前々回前回のブログと合わせると、管理人は次のような印象を感じます。
ここから下の記述は、標準的なテキストには載っていない、管理人独自の考えです。



  • 短期=「参入規制あり」「不自然」
  • 長期=「参入規制なし」「自然」



短期と言われるのは、設備などの固定費用が、文字通り「固定化」されるためですが、
実際には、商売を2年3年と続けていくと、設備も可変費用として「変動化」します。



いつまでも使えない設備を据え置きのまま、というのは、ちょっと考えづらいです…。
「商売あがったり」になるのは目に見えています。使えない設備を据え置きにしておく
ような事業は、撤退するだろうし。



そういわけなんで「設備の固定化」で、短期=「参入規制あり」という状態は、
非常に「不自然」に見えるわけです。もっとも、パソコンのモデルチェンジのように
「半年」ぐらいの期間であれば、それは短期のような気もしますが。
(完全競争市場 自由参入と自由退出シリーズ終わり」)





【参考文献】


八田達夫
ミクロ経済学〈1〉市場の失敗と政府の失敗への対策 (プログレッシブ経済学シリーズ)ミクロ経済学〈1〉市場の失敗と政府の失敗への対策 (プログレッシブ経済学シリーズ)
東洋経済新報社


ミクロ経済学〈1〉市場の失敗と政府の失敗への対策 (プログレッシブ経済学シリーズ)





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