おちゃらけミクロ経済学: 完全競争市場 自由参入と自由退出 その2

2013年2月19日火曜日

完全競争市場 自由参入と自由退出 その2

短期と長期の供給曲線




前回のブログでは、完全競争市場において、自由参入と自由退出の特徴が備わっている
理由を考えてみました。今回は、その自由参入と自由退出を前提として、時間の経過による
産業全体の供給曲線を考えていきましょう。



産業全体の供給曲線を時間の経過で区別することは、
一般的にも使われる、「需要と供給の法則」を理解するために、非常に大切な概念となります。
なお、ここでいう時間の経過とは、短期長期の、2つの時間で表すことにします。




市場

Market in Tripoli / David Stanley


短期の供給曲線




短期の供給曲線には、2つの特徴があります。

  1. 固定費用を調整できない
  2. 固定費用が調整できないため、企業数が一定に限られる

個々の企業の供給と、市場全体の供給を合計したものを比べると、次のグラフのようになります。



短期の供給曲線



短期の供給曲線




短期完全競争市場において、個々の企業は限界費用と市場価格が、
等しくなるように生産するので、価格が上昇すれば、個々の企業は、生産量を増加させます。



短期では、市場において企業数が一定に限られています。そのため、
仮に市場全体の企業が1,000社あるとすれば、個々の企業の1,000倍の供給曲線となります。



長期の供給曲線




一方、長期の供給曲線には、2つの特徴があります。

  1. 固定費用が調整できる
  2. 固定費用が調整できるため、企業数が変化する


個々の企業の供給と市場全体の供給を合計したものを比べると、次のグラフのようになります。




長期の供給曲線



長期の供給曲線




長期完全競争市場では、個々の企業は、利潤がゼロになるまで市場に参入したり、
退出したりします。そのため、市場全体の価格は、平均総費用の最小値に等しくなります。



仮に1,000社の企業があったとしてもどの企業も、価格は最小平均総費用に等しくなるので、
右側の市場供給のグラフでは、供給曲線は水平となります。




実際には右上がりの長期の供給曲線




このように長期の供給曲線は、水平になりますが、実際には下のグラフのように
若干、右上がりになります。確かに、多くの財やサービスは、市場価格で
消費者が要求するだけの量を、同じ価格で作ることができます。



しかしリゾートホテルのような、「土地」という限られた資源を投入する財の場合、
資源の獲得競争が発生し、資源が高騰するような財も存在するため、
実際には右上がりの供給曲線になると考えられます。



長期の供給曲線(修正)



長期の供給曲線(修正)



(つづく)






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