おちゃらけミクロ経済学: 利潤ゼロでも事業を続けるワケ その1

2013年2月25日月曜日

利潤ゼロでも事業を続けるワケ その1

2種類の利潤と費用



完全競争市場において、企業は2段階の意思決定を経て生産活動を行います。


  1. 生産するかどうか?
  2. いくら生産を行うか?


この2つの意思決定を具体的にいうと、次のような表現になります。


  1. 市場価格が最小の平均総費用より高いか?
  2. 追加的な収入と追加的な費用を一致する生産量はいくらか?


作図で表すと次のようになります。この図は企業の「利潤がゼロ」の状態を表しています。




2種類の意思決定



2種類の意思決定



経済利潤と会計利潤




ところで、企業の「利潤がゼロ」と聞いて、管理人は疑問に感じることがあります。
企業活動の最大の目的は利潤の最大化なのに、なぜ「利潤がゼロ」でも事業を行うのか?
ということです。





DAXspace / DAXKO



利潤と一口にいっても、ミクロ経済学では、実は2種類の利潤に分けられることができます。


  1. 会計利潤・・・収入から「目に見える費用」を差し引いたもの
  2. 経済利潤・・・収入から「目に見える費用」と「目に見えない費用」を差し引いたもの


経済利潤は2種類の費用を差し引いているので、会計利潤より小さくなります。



会計利潤と経済利潤



会計利潤と経済利潤



「目に見える費用」と「目に見えない費用」




それでは、この2種類の費用とは、具体的には何を指すのでしょうか?
主に次のように定義されます。


  1. 「目に見える費用」・・・金銭的支出及び減価償却費
  2. 「目に見えない費用」・・・機会費用


まず、企業活動を行うと、原材料の購入また従業員への給料の支払いや、
価値が少なくっていく設備に対する手当など金銭的な費用が伴います。
これが「目に見える費用」です。



加えてそれらの資源を、今行っている以外の他の用途に使用した場合に、
得られたであろう収入を放棄した分についても、費用として発生します。
これが「目に見えない費用」です。


言葉による説明だけでは、分かりづらいので、次回では表を交えて説明していきましょう。
(つづく)




【関連エントリ】


完全競争市場 利潤のための意思決定 その1






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