おちゃらけミクロ経済学: 規模の経済と規模の不経済その4

2013年1月7日月曜日

規模の経済と規模の不経済その4

なぜ「高い固定費用」なのか?



前回のブログで、ソフトクリーム店の店長である藤吉郎くんは、
長期の需要予測にもとづいて、従前よりも「高い固定費用」をかけようとしています。
その方が、販売量(生産量)が増加したときに、平均総費用が低くなると考えたからです。



低い固定費用と高い固定費用の比較






上の散布図を観察すると従業員が1人のときと、2人のときの間で、
「低い固定費用」のときの平均総費用(青)と、
「高い固定費用」のときの平均総費用(赤)が、逆転しています。




つまり、このグラフにある通り、
藤吉郎くんは、長期的には1日あたり220個ではなく、400個が売れると考えています。
この量で、平均費用を最小に抑えるためには、最初に「高い固定費用」を投入しているのです。




Lessons learned from growing internationally / BDOInternational



藤吉郎くんに与えられたものはヒト・モノ・カネ・「時間」



藤吉郎くんの責任は厳しいものの、規模の経済と規模の不経済その2であるように、
大きな予算や労働力の決定行う権限だけでなく、「長い猶予期間」も与えられています。



つまり、藤吉郎くんには、2通りの「時間の選択肢」として、
「長い期間」「短い期間」という2種類の選択肢が、与えられています。



前回シリーズの「利潤最大化と費用」でも、固定費用について言及しました。
しかし、このシリーズの場合、期間が短く、固定費用が調整できないという前提で、
平均総費用について述べました。このような費用曲線を「短期の平均総費用曲線」といいます。



一方、藤吉郎くんが負かされたソフトクリーム2号店のように、
平均総費用を最小化するために、長期的に固定費用を調整できる費用曲線を、
「長期の平均総費用曲線」といいます。



「長期の平均総費用曲線」と規模の経済



当ブログ、「おちゃらけミクロ経済学」をお読みの方には、
いわゆる「(営利企業の)会社」にお勤めの方もいらっしゃると思います。



その会社で仕事をしていると、時おり「規模の経済を働かせる」という言葉を
聞いたことがあるかもしれません。



経済学ブログを書く前、個人的には、「いっぱい作った(売った)方が費用が安く上がる」
ということぐらいに思ってました。ですがこの説明で、良いかどうかは、状況によります。



なぜなら、その状況というのは、「固定費用を調整できるかどうか」ということが、
正確な答えのための、キーポイントとなるからです。
(つづく)





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