おちゃらけミクロ経済学: 限界費用逓増の法則と微分 その5

2012年11月2日金曜日

限界費用逓増の法則と微分 その5


総費用曲線と限界費用曲線の比較




前回からのブログを整理してみましょう。
限界費用逓増の法則と微分 その1で登場させたグラフを、
「より丁寧に」観察してみましょう。



両者では、線形もかなり異なりますが、実は、座標の縦軸名も異なります。




総費用の増加














【縦軸名】

  • その1の縦軸名→総費用
  • その2の縦軸名→限界費用(追加的に1個をつくるための費用)



【特徴】

  • その1の縦軸名→「費用そのもの」が上昇。
  • その2の縦軸名→「費用の変化率」が上昇。



その1のグラフでは、生産単位が大きくなるにつれ、
全体の費用(総費用)が大きくなることを表します。



それに対し、その2のグラフでは、費用の変化率が上昇し、
生産単位が大きくなればなるほど、費用の増加率が高くなる、という状態を表しています。



総費用と限界費用を並べる理由




製パン会社もそうですが、企業活動においては、必ず、(収益-費用)について考えます。
赤字にせよ、黒字にせよ、一定期間において、利潤を計算する必要があるからです。



その一定期間において、生産や販売を開始をした当初は、
収益は増加しても、「費用の増分」は、低くなる傾向があります。
(ただし、費用について投資費用や機会費用は除く)



しかし、生産単位が次第に大きくなるにつれ、収益が増加しても、
むしろ費用の増分の方が、高くなります。



同じ生産量でも、費用が増加するということは、裏を返すと、
同じ費用を投入しても、生産量は減少していくことを表します。
これを限界収穫逓減の法則と言います



もちろん、生産単位が大きくなると、収益が増加しないということではありません
要は「のびしろが縮んでいく、という発想です。



限界収穫逓減の法則とその具体例




限界収穫逓減の法則について、具体的な例をあげれば、キリがないほど、挙げられます。
世の中に存在している一般の財・サービスの生産について、概ね「限界収穫逓減の法則」が、
適用できます。具体例は、以下の通りです


  • 食パン
  • 液晶テレビ
  • 自動車
  • コンピュータソフトウェア




生産単位を増やそうとすればするほど、既存の資源においては、収穫をあげることは、
難しくなっていきます。




限界収穫逓増の法則と教育サービス




逆に、限界収穫逓増の法則が適用できる財・サービスは、あるのでしょうか?
他の参考文献を確認していないので、全くの個人的見解でになりますが、
管理人は、教育サービスなどが、この法則を適用できると考えます。





パソコン分解に見入る子どもたち

パソコン分解に見入る子どもたち / chiaki0808




例えば、「自動車教習」を例にとってみましょう。
最初は、交通法規や標識に関する認識、自動車運転の技能習得まで、
覚えることは山ほどあります。しかも最初のうちは、公道にも出れませんし、
仮免許をとっても、助手席には、同乗者を必ずつける必要があります。
時間もお金も結構なコストが、かかります。





北豊島園自動車教習所 / ko-



しかし、自動車免許を取得すれば、一人で公道を運転することができます。
自動車運転による「移動の効用」を得ることができます。
しかも、運転経験を積めば積むほど、安いコストで運転技能が上がり、
「自動車移動による効用」が増加します。



よく、資源のない国は政策として教育にコストをかける、というお話を聞きますが、
単なる一般論としてではなく、ミクロ経済学的にも、考慮に値することだと思います。
(つづく)






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